福井県内の高校入試は、今回から県立一般の日程が前倒しになり、2月にヤマ場を迎える。私立の入試後2週間で県立入試が控え、保護者らは気持ちの切り替えや、本番に備える演習量を懸念。直前でも焦らず力を発揮できるよう、塾講師は「必要な勉強を確認して準備を」と助言している。
「私立受験が思うような結果にならなかった場合も想定し、出願は家庭でよく相談してください」-。昨年11月中旬。福井市内のある中学校は、3年生約180人とその保護者を対象に進路説明会を開き、こう呼び掛けた。
従来の日程では、県立入試は3月初旬で出願は2月下旬だったため、私立の合格発表後に県立を出願する流れだった。今回の県立一般入試は出願期間が1月24~28日で、試験が2月16、17日。私立一般入試は出願が21~25日で、試験が2月1、2日のため、私立の受験前に県立の願書を提出しなくてはならない。私立の合格発表は2月7日で、第1志望とする私立に合格した生徒は、県立の志願変更(8~10日)で県立の出願を取り下げることになる。
私立高校の特進コースが第1志望の娘を持つ福井市の男性(45)は「もし私立で失敗した場合、1週間程度で県立高校入試へと気持ちを立て直すことができるのか心配」と漏らす。「前倒しの日程は、子どもには確実に負担になっている」
本番前の演習量不足を心配する声もある。これまでは私立、県立それぞれの演習問題に順に取り組むことができたが、日程が近づいたことで同時に対策しなければならない。福井市内の中学校長は「受験のリズムがつかないまま入試を迎えるのでは」と懸念を口にした。
福井市内の中学校では、本番前の力試しとして例年1月に「実力テスト」を実施しているが、結果の返却が県立の出願期間に間に合わず取りやめた。演習の機会を少しでも増やそうと、代替として入試同様の出題範囲で定期考査を行う学校もある。
県教委は日程前倒しに伴い、出題範囲を全5教科で縮小した。しかし、学習塾関係者は「もともと1、2年生で習う部分からの出題が多く、今回も内容は大きく変わらないのでは」と見込む。福井育英センター福井本部校中学部の藤井麻奈美校舎長は「今までは私立入試を終えて一息つけたが、今回は試験直後の過ごし方も鍵になる。計画的に勉強することが大切」とアドバイスする。